よくあるご質問
FAQ
日本で不動産を購入・賃貸する際には、法律や商習慣の違いだけでなく、文化的な背景も影響を与えることがあります。このページでは、そうした違いに関する疑問を解消し、スムーズに取引が進むようにサポートいたします。もしその他に不明点などがあれば、ページ最下部にお問い合わせフォームまでご連絡ください。
【日本】
マンションやアパートを購入した後、毎月「管理費」と「修繕積立金」を支払う必要があります。これらの費用は、専有部分(住戸)の面積に応じて計算されることが一般的です。
管理費は、建物の日常的な維持管理や清掃、防犯対策、管理会社の運営費などに充てられます。たとえば、エントランスや共用スペースの清掃、エレベーターの点検、管理人の人件費などが含まれます。
一方、修繕積立金は、建物の長期的な維持・修繕を目的とした積立金 です。建築物は年数が経つにつれ老朽化するため、これに備えてあらかじめ資金を積み立て、将来的な大規模修繕に対応します。日本では管理体制が整ったマンションでは「長期修繕計画」が策定されており、建物の経年劣化に応じて修繕計画や積立金の金額が見直される仕組みになっています。これにより、マンションの資産価値を維持し、住環境の質を高めることができるのが特徴です。
また、新築やプレセール(未完成物件)を購入した場合、引き渡し時に「修繕準備金」として初期の修繕積立金を一括で支払うケースが一般的です。この資金は、修繕積立金の初期資金として活用されます。
【台湾】
台湾では、日本のように毎月修繕積立金を支払う仕組みはなく、基本的に毎月の管理費のみを負担するケースが多いです。管理費の用途は、日本と同じく共用部分の清掃や維持管理、防犯対策などに使われます。
修繕に関しては、あらかじめ積立金を徴収するのではなく、必要なタイミングで住民から臨時で費用を徴収するのが一般的です。そのため、大規模な修繕が必要になった場合、急な支払い負担が発生することがあります。
【日本】 日本において、住宅の専有面積の計算には、バルコニー・共用廊下・エントランスホール・駐車場などの共用施設は含まれません。バルコニーは専用使用権を持つものの、所有権は含まれません。販売面積は各戸の室内の専有面積を指し、外部空間や共用施設は含まれないため、住宅の内部空間の実際の広さが正確に反映されます。
また、これらの共用施設が専有面積に含まれないことで、すべての住民が平等に共用部分を利用・管理できる仕組みになっています。日本の住宅の面積計算方法は、シンプルで分かりやすいのが特徴です。
【台湾】 台湾では、バルコニーは付属建物として扱われ、住宅の所有権に含まれるため、登記された総面積に計上されます。そのため、バルコニーも住宅の一部とみなされます。
さらに、台湾の不動産登記面積の計算には、専有部分の面積だけでなく、共用施設の持分も含まれます。たとえば、階段・エントランスホール・中庭・エレベーターなどの共用施設が所有面積に加算され、これらのエリアは住民全員が共同所有し、利用できるものとされています。
この計算方式は台湾特有のものであり、購入前に権利書に記載された各項目をしっかり確認し、専有部分と共用部分の割合を明確にすることが重要です。特に、共用部分の面積とその価格をしっかり計算することで、購入する住宅のコストが適正かどうかを正しく評価することができます。
【日本】 マンションやアパートを購入しても、専用の駐車場を所有することは基本的にできません。特に都市部や人口密集地域では、駐車場は共用施設として管理され、住民全体で共有する仕組みになっています。
住民が駐車場を利用したい場合は、管理組合に申し込み、月額料金を支払う必要があり、駐車スペースが限られている場合、抽選や待機リスト(順番待ち)で利用者を決定することが一般的です。一部のマンションでは、駐車場の専用使用権を付与するケースや、まれに駐車スペースを販売することもあるが、これは例外的なケースです。
日本では、土地資源の有効活用が重要視されており、駐車場を公共の資源とすることで、個人の車の使用を減らし、より効率的な土地利用を促進するという考え方が根付いています。また、日本は世界で唯一「車を購入する前に駐車場を確保することが法律で義務付けられている国」です。車の購入時には、警察署に「車庫証明」を提出し、正式な駐車スペースが確保されていることを証明しなければナンバープレートが発行されません。
【台湾】 駐車場の所有権はより柔軟に管理されており、住民は専用の駐車スペースを購入し、所有することが可能です。
【日本】 日本では、1981年6月1日に改正された《建築基準法》により、新しい耐震基準が導入されました。この日以降に「建築確認」を取得した建物は、すべて新耐震基準に適合しているとみなされます。
新耐震基準では、建物が震度6~7の地震に耐えられることが求められていますが、旧耐震基準では震度5強までの耐震性しか求められていなかったため、新旧耐震基準の違いは大きな耐震性能の分岐点となっています。このため、不動産市場においても、新耐震基準の物件と旧耐震基準の物件の価格差が顕著です。
旧耐震基準の建物は、価格が低めでコストパフォーマンスが高いとされる一方、購入時には注意が必要です。例えば、一部の税制優遇や住宅ローンの適用条件が厳しくなる可能性があるほか、耐震補強や維持管理にかかる費用が高くなるケースもあります。そのため、旧耐震物件を購入する際は、耐震補強の状況や将来的なリスクを十分に検討することが重要です。
【台湾】 台湾では、1999年の921大地震を機に耐震基準が段階的に強化されてきました。ただし、日本のように明確な「新耐震基準」と「旧耐震基準」の分岐点は設けられていません。
現在の新築住宅はすべて最新の耐震基準に適合していますが、旧建築物については、後から耐震補強が施されているケースもあり、耐震性能の差が物件ごとに異なるため、一概に新旧の耐震基準による価格差が生じるわけではありません。
不動産市場では、建物の築年数や耐震補強の有無によって価格が決まる傾向が強く、日本ほど明確な新旧耐震基準による価格差は見られません。そのため、台湾では新築・中古の選択は耐震性能よりも、立地や物件のメンテナンス状況、その他の設備条件を重視する傾向があります。
【日本】
日本では、住宅を購入する際に重視されるのは、交通の利便性、間取り、周辺環境です。間取りの中でも特に重要視されるのは、主要な採光方向(方角)であり、一般的には南向きが最も人気で、次いで東→西→北の順となります。ただし、同じマンション内でも北向きの住戸が南向きより高額になる場合もあり、これは北向きの方が景観に優れているケースが多いためです。そのため、方角だけでなく、総合的に判断することが重要となります。また、日本では風水を気にする人は一部に限られ、大半の購入者は現実的な条件(立地、価格、間取りなど)を重視する傾向があります。
物件価格は階数、眺望、角部屋かどうかによっても変動します。管理体制やデベロッパーの知名度も重要な要素です。最上階の住戸(ペントハウス)は高級志向の物件とされることが多く、日本では修繕制度が整っているため、雨漏りの心配が少なく、魅力的な選択肢となります。角部屋は窓が多く、採光や通風が良好で、隣接する住戸が少ないため、人気が高いです。
日本の住宅では、玄関と廊下でリビングを区切り、プライバシーを確保する設計が一般的です。リビングとダイニングはソファで区切られることが多く、キッチンはリビングの近くに配置され、家族とのコミュニケーションを重視する設計になっています。なお、2LDK以上の間取りでも、トイレや浴室は1つのみの場合が多いのが特徴です。
洗濯機は浴室の近くに設置されるのが一般的で、漏水防止のための専用スペースが設けられています。ベランダ(バルコニー)は洗濯物を干すためだけでなく、緊急時の避難経路としての役割も果たすため、大型家具などを置かないよう規制されており、定期的に消防点検が行われます。
管理人が常駐しているケースが多いものの、24時間管理が行われるのは大規模なマンションやタワーマンションに限られるのが一般的です。通常のマンションでは、管理人は日中のみ勤務し、清掃やゴミ管理などの日常業務を担当します。なお、警備員やセキュリティシステムは管理人とは別に設置されるのが一般的で、管理人は住民の荷物の受け取りなどは行いません。
一戸建て住宅は木造が主流で、建築コストが低く、施工が容易ですが、耐久年数が短いというデメリットがあります。鉄骨造やRC(鉄筋コンクリート)構造の一戸建ては比較的少数派ですが、耐久性に優れた選択肢となります。
【台湾】
住宅購入時に「風水」を非常に重視する文化があります。代表的な風水の考え方として、「4」という数字(四=死を連想させる)を避ける、窓の正面に電柱や階段がある物件を避ける、トイレのドアが寝室のドアと向かい合わないようにするなどの条件があります。これらの要素は購入者の選択に影響を与え、物件価格にも反映されることがあります。
最上階(ペントハウス)に関しては、雨漏りのリスクがあることや、夏場の暑さが厳しいことがあるため、あまり人気がありません。
室内の間取りについては、日本と異なり、玄関を入るとすぐにリビングが広がる設計が一般的です。キッチンは独立型で、リビングとは完全に分離されており、後方のバルコニーと接続されていることが多いです。トイレと浴室の数についても、日本と異なり、2LDK以上の物件では、主寝室(マスターベッドルーム)に専用のバスルームがあるのが一般的で、さらに別の浴室やトイレが設置されることもあります。
バルコニーは主に洗濯や物干しのスペースとして使われるのが一般的です。洗濯機はバルコニーに設置されることが多く、物置としても活用されることがよくあります。
台湾では管理人が24時間体制で常駐し、警備業務も兼任するケースが一般的です。住民の荷物の受け取りなども管理人が対応し、日本に比べてサービスの範囲が広いのが特徴です。
一戸建て住宅に関しては、日本と異なり鉄筋コンクリート(RC)構造が主流です。これは、台湾の気候が湿潤であるため、耐久性のある構造が求められることによるものです。
【日本】 住宅は自分や家族が住むための資産と考えられ、短期的な投資対象として扱われることは少ないです。1990年代のバブル経済崩壊を経験したことで、日本の不動産市場は慎重な姿勢を強め、国民の間でも「不動産は時間とともに価値が下がるもの」という認識が一般的になりました。そのため、住宅価格は必ずしも上昇するとは限らず、下落するリスクもあるという考え方が根付いています。
こうした価値観のもと、日本では住宅を長期的に所有し、安定した賃貸収益を得ることが主な不動産投資の手法となっています。短期的な売買益を狙うよりも、賃貸運用による利益を重視する傾向が強いのが特徴です。
また、日本の住宅自体の所有率は約60%前後であり、特に東京のような大都市圏では50%を下回ることもあります。これは、日本では住宅を購入するよりも賃貸を選択する人が多く、特に若者や都市部に住む人々の間では賃貸需要が根強いことを示しています。
日本の住宅市場では、「住むための家」という機能が強く意識され、投資目的での購入が主流ではないという点が、台湾との大きな違いです。
【台湾】
台湾では、不動産は居住のためだけでなく、資産運用や投資の手段としての側面が強いです。多くの人々が「不動産は価値が下がらず、むしろ上昇し続ける資産」と考え、不動産投資を積極的に行っています。経済の不況時や政府による抑制策(いわゆる「打房政策」)が導入された場合でも、台湾の不動産価格は基本的に上昇傾向を維持しており、「不動産は安全で確実な投資対象」と認識されることが一般的です。
また、台湾の住宅自有率は約78%〜80%と高水準にあり、多くの人が「持ち家」を持つことを重視しています。これは、伝統的な「有土斯有財(土地があれば富が築ける)」という価値観が根強く、住宅を購入することが財産形成の重要な手段と見なされているためです。
台湾では、不動産は単なる居住空間ではなく、「資産価値のある投資対象」として広く認識されており、この考え方が住宅市場の価格上昇を支える要因の一つとなっています。
【日本】
日本の不動産価格は一般的に安定しており、市場価格に即した設定がされているため、購入時、特に中古市場においては値引き交渉の余地が比較的小さいのが特徴です。多くの買主は売主の提示価格に沿って取引を進め、仮に値引きが行われる場合でも、価格の調整はごくわずかであり、大幅な値下げが実現することはほとんどありません。新築物件や未完成物件(プレセール)に関しては、基本的に価格交渉の余地はありません。
また、購入時に最初から強引に大幅な値引きを要求すると、売主に誠意がないと受け取られ、取引に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、事前に不動産仲介業者と相談し、適切な交渉を行った上で、合理的な価格でのオファーを提出することが、スムーズな取引を進めるための鍵となります。
【台湾】
台湾では一般的に値引き交渉の余地が大きく、新築・中古を問わず、買主が価格調整を求めることはごく普通の文化です。売主が設定する価格は交渉を前提として高めに設定されることが多いため、買主はまず低めの価格から交渉を開始し、話し合いを通じて徐々に価格を調整していくのが一般的です。そのため、場合によっては大幅な値引きを実現できることもあります。
この交渉スタイルは、建設会社が販売する新築物件でも、個人が売却する中古物件でも広く適用されます。売主も買主からの値引き交渉を想定しているため、積極的に交渉を進めることで、より有利な条件を引き出すことが可能です。
【日本】 日本のプレセール物件(未完成物件)の価格は比較的透明性が高く、デベロッパー(建設会社)は市場の相場やコストを考慮し、合理的な価格設定を行います。そのため、購入時の価格交渉の手間が少なく、価格の不確実性も低いという特徴があります。
販売方法は分譲販売(段階的な販売)が主流で、販売が開始されると、購入希望者は申し込みを行います。その後、抽選によって購入者が決定されるのが一般的ですが、一部のデベロッパーは早期に購入希望を出した人に優先的に販売することもあります。ただし、競り(入札)による価格決定はほとんど行われません。
また、日本のプレセール物件は引き渡し前に所有権を第三者へ転売することが原則として禁止されており、転売には建設会社の書面による承認が必要です。
支払いスケジュールもシンプルで、契約時に物件価格の10%~20%の手付金を支払い、残額は物件引き渡し時に一括で支払う形が一般的です。途中で施工段階ごとに支払う必要はなく、契約から引き渡しまでの資金管理がしやすいのが特徴です。
【台湾】 台湾のプレセール物件は価格交渉の余地が大きく、購入者がデベロッパーと価格交渉を行うことが一般的です。建設会社は市場の需要に基づいて初期価格を設定しますが、実際の購入価格は交渉次第で変動することが多いです。
支払いプロセスは日本に比べて複雑であり、施工の進行に応じて複数回の支払いが発生します。通常、以下のような支払いスケジュールが組まれます。
物件の引き渡し・登記手続きの前に、デベロッパーから「暫収款」として約20~30万台湾元(約100万円前後)の費用を請求されるケースが多く、これは税金や登記手続きに関連する諸費用として扱われます。
【日本】 日本の《宅地建物取引業法》によると、不動産仲介手数料の上限は以下のように定められています。
取引価格の3% + 6万円 + 消費税(400万円以上の物件に適用)。
取引価格が400万円以下の場合、異なる計算方法(段階的計算)が適用される。
新築物件や未完成物件(プレセール)をデベロッパーが直接販売する場合、仲介手数料はかからないこともあります(仲介業者を介さないため)。
【台湾】 台湾では、《内政部不動産仲介経紀業報酬計収標準規定》により、売買双方から徴収する仲介手数料の合計は取引価格の6%を超えてはならないと定められています。実務上は以下のように分担されることが一般的です。
売主が取引価格の4%を負担
買主が取引価格の2%を負担
【日本】
日本の不動産情報では、物件の面積は「平方メートル(㎡)」で表記されるのが一般的です。しかし、単位面積あたりの価格(坪単価)を計算する際には、「坪(つぼ)」という単位がよく使われます。
平方メートルから坪に換算するには、以下の計算式を使用できます。
㎡ × 0.3025 = 坪
㎡ ÷ 3.3 = 坪
【台湾】
台湾では、物件の面積は「坪」で表記されるのが主流です。(1坪 ≈ 3.3㎡)また、台湾の不動産市場では、建物の面積が「建坪(主建物)」と「公設坪数(共用部分)」に分かれるという特徴があります。
